高齢者の癒しとして注目されるペットとロボット!その活躍とは
2016/12/01

高齢者介護の人手不足が問題になっていますね。
人手不足から、不十分な介護しか受けられない高齢者や、過度な労働でストレスを貯める若い介護職員たち。
もっとみんなが幸せな生活を送れるような工夫はでき無いのでしょうか?
高齢化社会の実態、推移(社会的な衰退と損失)
日本をはじめ、世界的に高齢化が進んでいると言われる社会。
この高齢化の推移についてまずは見ていきましょう。
まず、高齢化の考え方として、どのように高齢者の割合を出しているかを知る事で理解しやすくなります。
高齢者率の数字を出すのには、国民の年齢のうち65歳以上の人の割合が使われています。
この65歳以上の年齢で高齢者率を出しているというのは覚えておくと、高齢者のお話を聞いたり考えたりする上で、理解しやすいでしょう。
日本の高齢者率として、1950年には4.9%という割合でした。
総務省の発表による2015年の高齢者の割合は過去最高の26.7%となっています。
特に80歳以上の人の数が1000人を超えました。
これから、高齢者は増々増え、2060年には2.5人に1人が65歳以上になると予想されています。
最近は高齢者の人も、定年退職後の再就職をしたりと社会活動の役に立とうという人が多いようですが、さすがに3人に1人が高齢者となると、日本の社会的な衰退は火を見るより明らかなのではないでしょうか。
例えば、要介護高齢者が増えた場合、その面倒を見る若い世代の人が圧倒的に足りなくなる事も容易に予想されます。
高齢者とペットのこれからの関係性、将来性
働き手の若い世代の人数不足が予想される中、高齢者の数を減らす事は出来ませんので、お年寄りにはいつまでもお元気で、自分の身の回りの事がいつまでも出来るようにいてもらう事が大事になってきますね。
日本は核家族化が進み、高齢者の一人暮らしの数も増えています。
1人で誰とも話しをせず暮らしていると、ストレスや運動不足で精神的にも肉体的にも病気になる可能性が高くなってきます。
そんな老人介護予防として、注目を集めているのがペットの存在です。
ペットと高齢者の予防医学として注目されているのが、自立神経とペットとの関係です。
人には、自分で鍛えたりできる運動神経と自分ではセーブする事が出来ない自律神経があります。
自律神経には、心の落ち着きも含まれていて、緊張した時に心臓がドキドキするのは交感神経という自律神経が働き、ゆったり落ち着いている時には副交感神経という物が働いています。
高齢者とペットとの関係をこの自律神経で見た研究結果があります。
健康な高齢者を3つのグループに分けて行われた研究です。
グループ1には、ペットと3日間散歩をしてもらい、その自律神経の活性化の様子を記録しました。
グループ2は、通常通り自室で生活してもらい、そこにペットが時折尋ねるという状況を作り、自律神経活性の様子を記録しました。
どちらの高齢者も1人で行動するよりもペットと一緒の時の方が自律神経、特に副交感神経活性に大きな変化が見られました。
グループ1では1日目よりも2日、3日と日を追うごとに活性は大きくなる事がわかりました。
日常の生活に犬が訪問するグループでは、散歩のグループより多くの自律神経活性が見られました。
特に、副交感神経が活性化して交感神経が抑えられたという結果が出ました。
この結果から、ペットは高齢者の心の落ち着きに大きな影響を与える可能性が非常に高いという事がわかります。
しかし、だからと言って高齢者が犬を飼うと言うのは問題になる場合もあります。
いつまで飼い主である高齢者が、自分の世話だけでなく動物の世話も出来る状態にあるのか、という事に対する懸念です。
動物の世話が高齢者の負担になってしまったのでは、逆にストレスをためてしまう事にもなりかねませんね。
高齢者とロボット パルロの将来性
そんな中、注目を集めているのが高齢者のお世話ロボットの登場です。
お世話と言っても、ロボットに介護まで出来るわけではなく、あくまでも予防医学的な立場での高齢者の支えになる存在と言えます。
高齢者福祉施設や病院で導入される場所が増えているのが、介護ロボットのパルロです。
介護の現場では、人手不足が懸念されていますね。
これから更に高齢者が増え、介護士さんの数が足りなくなると予想されます。
そんな中、自分で自分の世話が出来る高齢者に対して、助言をしたり、話し相手になったり、遊んだりとそのような役割りをロボットにしてもらおうという考えです。
体は丈夫だけれど少し物忘れが多くなったご高齢者も多いのではないでしょうか。
パルロは、薬の時間がくると「薬は飲みしたか?」と声をかけたり、食事中にも「よく噛んで食べましょうね」などとやさしく話しかけてくれるそうです。
ペットに癒やし効果があるように、パルロにも孫のような小さな子供が話すような愛らしさを出して、高齢者に接するように作ってあるそうです。
機械のような無機質なやり取りではなく、相手の目を見て、話しかけにうなづいたり、時にはおちゃめな返答もしてくれるそうです。
まるで、新しい孫が出来たような気持ちになる高齢者も多いようです。
高齢者の帰宅願望も抑えてくれるロボットに期待
高齢者を抱えるご家庭で、話に聞くのは家でお世話をする事が難しくなり、施設に入所する事になると「家に帰りたくなるから」という理由で家族との面会もままならなくなるのがかわいそうだという意見でした。
パルロは、そんな家族と離れて暮らさなくてはいけない高齢者の新しい家族となってくれる希望があります。
高齢者が「ただいま」と声がけすると「おかえりなさい」と答えてくれるそうです。
この言葉のやりとりで、高齢者は「ここが自分の新しい家なんだ」という気持ちになるそうです。
まったく寂しい気持ちが無くなるかと言うと難しいかも知れませんが、少しでもみんなが幸せで、長く元気で、ストレスを感じず生活を続けていくには、このようなロボットの力を借りるのがこの先ベストな選択になるのかも知れませんね。
これからの若い人材不足とそれを補うロボットの活躍に期待
日本は、世界で1位の高齢者国です。
お年寄りがお元気なのは良いのですが、そんな高齢者をお世話する人手不足が心配です。
雇用形態も今と昔ではずいぶん違います。
定職に就かずに、アルバイトやパートで生活する若い人も多いですね。
このような雇用形態では、高齢者の面倒を完璧にこなすには若いものの負担が多きすぎるでしょう。
これを懸念する高齢者も少なくありません。
今後は、パルロのようなロボットで補える点は補っていき、高齢者も若者もストレスなく、健康な生活を送れる社会であって欲しいですね。
参考文献
高齢化の推移
内閣府 http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2014/zenbun/s1_1_1.html
ペットと癒やし
CAIRC論文 http://www.cairc.org/j/relation/paper32.html
パルロについて
パルロ公式サイト https://palro.jp/preventive-care/nursing-home.html