必見!鼻炎を代表とする各種アレルギーは便秘症を悪化させるって知っていましたか?
2016/10/19

実は国民全員が便秘症かも!
平成25年厚生労働省発表の「国民生活基礎調査の概況」によると、便秘症で悩む国民はなんと37.8%!
つまり、約470万人が便秘症かも・・・と悩んでいることになります。
その内訳は男性26.0%・女性48.7%となっており、女性の2人に1人は便秘症に悩んでいるというわけです。
また、比率的には4人に1人と女性に比べると少なめの男性ですが、加齢するにつれてその差がなくなり、80歳以上になると比率の逆転が起きています。
便秘と気が付いていない方もいらっしゃるでしょうから、実際の罹患率はもっと多く、国民2人に1人以上罹患している可能性もあるのです。
もしかしたら、便秘症は国民病といっても過言ではないかもしれません。
便秘症が拡大した背景には、肉中心やジャンクフードなど食生活の欧米化、移動手段の発達による運動不足など、生活全般が進歩・変化したことが主だといわれています。
しかし、進歩したのはそれだけではありません。
医学の進歩も目覚ましく、一昔前には『不治の病』と言われていた病気も、今現在では薬を一定期間服用すれば治ってしまいます。
癌も手術や放射線治療、化学療法などで罹患後の生存率が上がっています。
敷居の高かった医療機関やお金がかかるといった印象のお薬でしたが、医療保険や助成補助が確立された今では大半の方が「早めの治療が大切」と言って、ちょっと不調を感じると医療機関を受診したり、処方薬と同成分の市販薬をお手軽購入したりして早め早めの対策をしていますね。
確かに、病原体はお薬で叩けるので、その時に感じた不調や具合の悪さは解消できるでしょう。
しかし、そのお薬の副作用にはほとんどの方が注意を払っていないというのが現実です。
薬の副作用って怖い!
インフルエンザや膀胱炎などのウィルス感染には抗生剤が投与されますが、医療機関では5~7日といった短期間投与を行っています。
肺炎など場合でも14日を限度とするなど、お薬が引き起こす副作用予防と、ウィルスへの耐性予防を図っているからです。
服用し続けなければならない高血圧薬・向精神薬・抗癌薬などは、抱き合わせで副作用のためのお薬を処方したり、副作用を引き起こさない用量を処方したりしています。
問題なのは、長期投与となる抗アレルギー薬、またそれらの市販薬を継続服用する場合です。
アレルギーは、『ヒスタミン』という体内物質が『H1受容体(ヒスタミン受容体)』と結合することによって発症します。
つまり、『ヒスタミン』と『H1受容体(ヒスタミン受容体)』のパズルピースをつなぎ合わせてしまうとアレルギーが起こるというわけです。
それをブロックして、その2つの間に入るのが抗ヒスタミン薬で、『ヒスタミン』が到着するよりも早くフェイクのピースになって『H1受容体』のピースの穴を塞いで、アレルギーが起きるのを防ぐ役割をしています。
抗アレルギー薬抗生剤の多くには抗ヒスタミン成分が配合されており、止まらない鼻水、肌や粘膜の痒みといったアレルギー症状を抑えてくれるのですが、消化器の働きを抑制する抗コリン作用といった副作用があります。
例えば、アレルギー性鼻炎で、抗ヒスタミン成分を長期服用すると、腸の働きが悪くなって、便秘になってしまうのです。
お薬の服用をやめれば便秘は解消されますが、鼻水や痒みに四六時中悩まされることになり、お薬を飲み続ければ、アレルギー症状は緩和されますが、便秘になるリスクを負うことになります。
また、さほど発生頻度は多くないものの、アナフィラキシーショックのリスクが皆無というわけではありません。
経口薬・注射薬問わず、アレルギー薬以外のお薬であっても、以前に服用して気分が悪くなった、心拍が異常に早くなった、呼吸困難になったなどの方は、自己判断で市販薬を購入せず、一度診察を受けることをお勧めします。
代表的な抗アレルギー薬
医療機関で処方されている方は、担当のドクターや薬剤師に、服用中に便秘になることをきちんと伝えましょう。
低用量のお薬(抗ヒスタミン)や抗ヒスタミン成分ではない酸性抗アレルギー薬(インタール・リザベンなど)や漢方薬への変更など、相談に乗ってもらえることでしょう。
市販薬は処方薬に比べると配合される成分用量が抑えられているとはいえ、長期服用すれば便秘症のリスクが高まります。
もともと便秘症の方は、低用量でも便秘症が重症化することを理解して服用しましょう。
できたら、購入前に表記されている成分を確認するか、1類薬で薬剤師がいないと購入できない抗アレルギー薬であれば、薬剤師に相談してから購入することをお勧めします。
1.第一世代(メリット:服用後すぐ効果がある・安価である⇔デメリット:副作用が強い)
・エタノールアミノ系:ジフェンヒドラミン(ベナ・レスタミンコーワ)、ジメンヒドリナート (ドラマミン)
・プロピルアミン系:クロルフェニラミン(アレルギン・ポララミン・クロール・トリメトン)
・フェイチアジン系:プロメタジン(ピレチア)
・ピペラジン系:ヒドロキシジン(アタラックスP)
・ピペリジン系:シプロヘプタジン(ペリアクチン)
2.第二世代(メリット:副作用が弱い⇔デメリット:服用後すぐに効果がない、高価である)
・1期:ケトチフェン(サジテン)、アゼラスチン(アゼプチン)、オキサトミド(セルテクト)
・2期:エピナスチン(アレジオン)、セチリジン(ジルテック)、フェキソフェナジン(アレグラ)ロラタジン(クラリチン)、セチリジン(ジルテック)、ベポタスチン(タリオン)、オロパタジン(アレロック)、ロラタジン(クラリチン)、 レボセチリジン(ザイザル)
3.拮抗剤・阻害剤
・ロイコトリエン受容体拮抗剤:ブランルカスト水和物(オノン)、モンテルカストナトリウム(シングレア、キプレス)
・プロスタグランジンD2(抗プロスタグランジンD2)、ラマトロバン(バイナス)
4.Th2サイトカイン阻害剤
・スプラタストトシル酸塩(アイピーディー)
5.ステロイド
・鼻噴霧用:ベクロメタゾンプロピオン(アルデシン)、フルチカゾンプロピオン酸エステル(フルナーゼ)、モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物(ナゾネックス)
・経口用:ベタメタゾン・dクロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤(セレスタミン)
*「成分名(商品名)」で表示
増え続けるアレルギー性鼻炎
「花粉症の季節」なんて言葉が聞かれるようになったのは、ここ30年ほど。
それまでは、花粉症の「か」の字もありませんでしたが、今では、天気予報で「花粉マーク」なるものが必要になっています。
これは、花粉をアレルゲンとした立派なアレルギー症状です。
代表的なアレルゲン(アレルギーの原因)はスギといわれており、戦後焼け野原となった多くの山でスギが植林され、花粉生産力の強い樹齢30年以上のスギ林面積が多くなった1970年代から、その花粉に過剰反応する人が増えたことが原因のようです。
季節によってスギ・ヒノキ・カエデ・ブナなどの樹木の花粉、 ブタクサ・ヨモギなどの雑草類の花粉、ホソムギ・ススメノテッポウなどのイネ科植物の花粉など、人によってアレルゲンは異なり、その花粉が飛ぶ一時期が過ぎると症状が治まるので「季節性アレルギー性鼻炎」とも言われています。
花粉症のみならず、ハウスダストやダニなどによるアレルギー症状に悩む人が増えています。
これは、高度成長期の1960年代後半からの住宅ブーム以降、気密性の高い家屋やマンションが多く造られ、またどの家庭でも各部屋に設置された冷暖房設備によって、ハウスダスト、ダニ、カビ、細菌や動物の毛や羽が増えたために、アレルギーを発症したと考えられています。
これらは季節を問わず症状が出ることから通年性アレルギー性鼻炎とも言われています。
こうして、アレルギー性鼻炎は、主にくしゃみ・水様性鼻漏・鼻閉の症状を伴って、現在国民の3人に1人の割合で発症するようになったのです。
アレルギー性鼻炎はどうしてなるの?
アレルギー性鼻炎の発症原因は、花粉やダニなどのアレルゲンを吸入することで起きますが、私たちの体内には異物・不要なものを排除しようと戦う抗体 (IgE)が存在しますから、ちょっとやそっとのアレルゲンに負けることはありません。
なのに、どうしてアレルゲンに負けて、アレルギー性鼻炎になってしまうのでしょうか。
近代では、ちょっとした体の不調でも予防薬の服用がありますし、体の調子を整えるためにサプリメントを使用する方も多いことでしょう。
また、住まいや公共施設など私たちが接する環境は衛生状態が保たれ、帰宅してからの手洗い・うがいはもちろんのこと、アルコールの入ったウェットティッシュやジェル・抗菌マスクなどの持ち運びは当たり前のようになっています。
トイレの手拭きでさえ、使い捨てペーパーかエアタオルというように、直接不要なものとの接触をなくす環境が作られています。
こうして、私たちの体に異物・不要といわれている、でも当たり前に通常存在する細菌や寄生虫に接する機会は体内・体外ともに少なくなり、アレルギーに対抗する細胞が作られなくなったことが、アレルギー性鼻炎が激増した原因です。
アレルゲンが体内に入ってくると、アレルギーを引き起こすように煽り立てる怪獣「2型ヘルパーT細胞(Th2)」が増えて、アレルギー性鼻炎が発症します。
ですが、通常は、この怪獣「Th2細胞」を抑える正義の味方ウルトラマン「1型ヘルパーT細胞(Th1)」が頑張ってIgEを作り出して、アレルギー性鼻炎を起こさないようにうまくバランスを取っているのですが、あまりにも良い環境下で異物から隔離されていることで私たちのウルトラマン「Th1細胞」が弱く、怪獣「Th2細胞」にあっけなく負けて、アレルギー性鼻炎になってしまうというわけです。
アレルギー性鼻炎は腸の状態で変わる!
実は、このTh1細胞とTh2細胞のバランスに保っているのは、私たちの体内で生きている細菌たちなのです。
ですが、やっぱり、こちらもヒーローとヒールに分かれています。
腸内に生息する乳酸菌とビフィズス菌などのヒーロー「善玉菌」と呼ばれる腸内細菌群が大活躍すると、Th1細胞が元気になります。
そして、IgEを作り出してくれるので、スギ花粉が大量に飛んでいようとも、ちょっとしたほこりでもアレルギー症状は起きにくくなります。
しかし、大腸菌などのヒール「悪玉菌」が増えると、Th2細胞も増えて、アレルギー性鼻炎が発症しやすくなります。
つまり、善玉菌が少なくて悪玉菌が多い便秘状態だとアレルギー性鼻炎になり、悪玉菌が少なくて善玉菌が多い快腸状態だとアレルギー性鼻炎が抑えられるというわけです。
これは、なにもアレルギー性鼻炎に限った事ではありません。
アレルゲンを元に発症する気管支喘息、アトピー性皮膚炎、じんましんといった他のアレルゲンにも適応されますので、腸内環境を整えると、他のアレルギー疾患も重症化せずに対処できるかもしれません。
便秘とアレルギー対策は?!
先ほども述べましたが、アレルギー薬の服用をやめれば便秘は解消されますが、鼻水や痒みに四六時中悩まされることになります。
そしてお薬を飲み続ければ、アレルギー症状は緩和されますが、便秘になるリスクを負うことになります。
つまり、便秘と各種アレルギーは負の連鎖を呼んでしまいます。
また、アレルギーには根治治療はなく、現状の症状を抑えるに留まっています。
そこで、提案したいのは、お薬だけに頼らず、体質を変えていくことです!
お腹の筋肉を鍛える
便秘症は筋肉の低下から、腸の蠕動運動が弱くなったことで起きます。
ですから、お腹の筋肉を鍛えることから始めましょう。
何も、某CMのように腹筋をガツガツしなくてもいいのです。
毎日一定時間でのウォーキングや、仰向けになってお腹に力を入れるといった簡単な運動でも、立派な運動になります。
食生活に気を配る
また、食生活に気を配ることも大切です。
腸内の善玉菌を増やす食品を積極的に摂取することもいいでしょう。
乳酸菌とビフィズス菌といえばヨーグルトですが、「腸まで生きて届く」なんてうたい文句のものもありますので、じっくり商品を手にとって効能をみましょう。
発酵食品も腸内環境を整えます。
漬物、キムチ、納豆…古き良き時代の食卓に乗っていた食事は、知らず知らずのうちに私たちの体を整えてくれていたのですね。
「あいうべ」体操
免疫力を高める「あいうべ」体操も有効です。
口呼吸は体の免疫力を下げてしまいます。
この体操は口呼吸を鼻呼吸に変えていく体操です。
やり方は簡単!
「あ~」と大きく口をあけ、「い~」と口を大きく横に広げる。
「う~」と口を強く前に突き出し、「べ~」と舌を下に突き出すだけなのです。
1日30回を目安に、鏡の前でやってみましょう。
また、鼻呼吸だと、口呼吸に比べてウィルスや粉塵を吸いこむ比率が低くなり、様々な疾病予防につながりますよ。
まとめ
千里の山も一歩から…まずは、便秘とアレルギーが引き起こす「負の相乗効果」を撃退すべく、
またお薬を減らすことができるように、できることからはじめてみませんか?