はちみつが食べられなくなる!?みつばちが絶滅の危機に瀕していた!
2016/12/01
みつばちの数が減っているというニュースを見た事がある人はいますか?
今、世界レベルでみつばちがいなくなっています。
ヨーロッパやアメリカでは、農薬を禁止したり、詳しく研究されたりと世界中の偉い人たちが、このみつばちがいなくなるというミステリーの謎を解こうと必死になっています。
なぜ、こんなに国をあげてみつばちの数を気にする人が多いのでしょうか?
それには、みつばちには、はちみつを採るという意外に、とっても大事な役割りがあるからなんです。
みつばちの大事な仕事とは何でしょうか?
まずは、このみつばちの働きから見ていきましょう。
みつばちの働き
突然ですが、クイズです。
みつばちってどんな仕事をしているでしょうか?
花の蜜を集めて、巣に持ち帰っていると答えた人。
正解です。
でも惜しい!50点。
養蜂家のみつばちなら、それがはちみつとして出荷されて…って答えた人も正解です。
75点です。
でも、みつばちの仕事はそれだけじゃないんです。
わかりますか?
みつばちの足をよーく見てみると、黄色いボール状の物がついています。
これは花の花粉です。
植物は、おしべの花粉がめしべに受粉して実ができるというのを小学校で習いました。
その橋渡しをしているのがみつばちです。
なんと、世界中の花の75%はみつばちが花粉を運んで受粉させているそうです。
ここまで答えられた人は100点満点です。
世界の75%の花は、みつばちがいないと受粉できなかった事になります。
みつばちの働きってすごいんですね。
みつばちがよく見られた昭和
そんなみつばちのすごい働きのひとつである、はちみつを作る仕事。
テレビなどでも、みつばちの巣箱に蜂がたくさんいるのを見たことがある人は多いんじゃないでしょうか?
このはちみつを集めるみつばちを飼う人たちの事を養蜂家と言います。
この養蜂家の数が、昭和と比べて激減しているという調べがあります。
ひとつは養蜂家の高齢化が進んで、やめる人が増えたという事、それともうひとつは農薬の被害でみつばちの数が減ってしまったという事です。
昭和60年には9,499戸あったみつばちの飼育戸数が、平成17年に調べたところ4,790戸まで減っているそうです。
日本のみつばちは、20年と少しで半分ほどになってしまっていたんですね。
昭和と平成のみつばちの変化
日本のみつばちの数は毎年減少し続けていました。
日本の養蜂は昔から日本にいたニホンミツバチと、コストパフォーマンスが良いセイヨウミツバチを輸入した2本柱で行われているので、いっぺんに数が減るという事は今のところありません。
しかし、世界規模で見ると、特にアメリカではひと晩にしてその数が1/4にまで落ち込むような大量の蜂がいなくなっています。
これは、セイヨウミツバチの群崩壊症候と呼ばれ、研究が行われています。
その特徴としては
- 働き蜂が群れの集団(コロニー)からいなくなるものの、周囲には死んだ蜂がほとんど見られない。
- 群れの集団(コロニー)には孵化前のミツバチの幼虫が残されている。
- 蜂蜜や花粉といった食料は備蓄されたままである。
- 群れの集団(コロニー)の構成員は、砂糖水や蛋白質などの餌をあまり食べようとしない。
- 女王蜂は巣の中に残されている。
という物です。蜂を人に置き換えると、なんだか、失踪ミステリーのようだと思いませんか?
どうしてこのような事が起きているのか、詳しく見てみることにしましょう。
国内はちみつの現状
日本では、いったいどのくらいのはちみつが作られているのかというと、とっても少ない数しか採れていません。
日本の消費量から見ると5%にも満たない量だと言われています。
日本は、はちみつはほぼ中国からの輸入に頼っています。
中国は、世界のはちみつのシェアトップで、世界中のはちみつ生産量の27%を占めています。
続いて、トルコ、アルゼンチン、ウクライナと続いています。
しかし、2位以下でもはちみつのそう生産量の5%前後という数字となっています。
この世界のはちみつ生産で生産量6位にあるのがアメリカで、はちみつシェアの4%ほどです。
日本と比べると多くのみつばちを飼っていて、生産規模もとても多いアメリカ。
でも、そのアメリカのみつばちに、近年大ピンチが起きたんです。
それは2006年の秋のことでした。
アメリカのみつばちが、ひと晩のうちに大量にいなくなるという事件が起きました。
この理由として、農薬によるみつばちの死亡、アカリンダニ やミツバチヘギイタダニ などによるダニ被害、都市部からみつばちの逃亡と様々な理由が考えられ、研究されましたがいまだにハッキリした理由は発表されていません。
原因の理由の中には、みつばちの過労によるストレスまであがっているそうです。
この中で気になる説があったのでご紹介します。
それは、農薬による蜂の被害についてです。
群崩壊症候の中で、巣の中の幼虫は被害を受けない(生きて巣に残っている)事がわかっています。
みつばちは、巣に持ち帰るのは花粉とハチミツです。
そのどちらかに農薬が入っていると考えると、幼虫が生きている事からハチミツの可能性が高いのです。
みつばちの幼虫はハチミツを食べないからです。
ハチミツを食べない幼虫は巣の中に生きて残り、ハチミツを食べる働き蜂たちは、みんなどこかへ行ってしまっています。
特に農薬の中で怪しいとされているのが、ネオニコチノイド系農薬殺虫剤です。
このネオニコチノイド系農薬は、シロアリでの研究で「方向感覚を麻痺させる毒性」を持っているのがわかっています。
もし、この農薬の影響でみつばちたちが方向感覚を失い、巣に戻れなくなっていたとしたら…
蜂の大量失踪の謎解きのヒントになりそうだとは思いませんか?
そして、怖いのは、その農薬成分はハチミツに含まれている可能性が高いと言う事なんです。
みつばちが絶滅すると食生活はどうなる?
みつばちの働きは、ハチミツを集めるだけではないというお話を最初にしました。
覚えているでしょうか?
日本の農家の人でも、他の虫が極端に少ない冬場は、特に、受粉用のみつばちがいないとまったく作物が出来ないという事になるんです。
日本では、特にスイカやメロン、いちごなどの果物類の受粉にみつばちが使われているそうです。
もし、日本のみつばちが絶滅してしまうと、生産量はガタ落ちになってしまうでしょう。
そのため、輸入に頼らざるを得なくなります。
他の国にみつばちがいれば良いですが、世界的にみつばちがいなくなったら、野菜、果物の値段はとても高くなるでしょう。
一般の家庭では、野菜がごちそうになってしまう事もあるかも知れません。
野菜や果物がなくなり、ビタミン不足で食事はサプリばかりなんて味気ない事になる可能性が無いとも言えません。
美味しいものがなくなってしまう世界なんて、考えたくありませんね。
日本も農薬規制を
欧米では、すでにみつばちのためにネオニコチノイド系農薬の規制が行われています。
みつばちのための農薬規制が行われていないのは、韓国と日本くらいだと言われていましたが、近年韓国も、ネオニコチノイド系農薬の規制に踏み出したそうです。
日本は、みつばちのための政策が非常に遅れている状態なのです。
みつばちがいなくなってしまったら、ハチミツだけでなく野菜や果物なども食べられなくなるかも知れません。
日本も早く、危険な農薬を規制してみつばちが安心して働けるような環境を整えて欲しいですね。
みつばちだけでなく、自分たちのため、また大切な次の世代のためにも、心からお願いしたいと思います。
参考文献
みつばちの数の推移
日本養蜂協会 http://www.beekeeping.or.jp/beekeeping/history/japan
群崩壊症候
wikiより(元はカナダの養蜂協議会の研究より) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9C%82%E7%BE%A4%E5%B4%A9%E5%A3%8A%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4#.E7.BE.A4.E5.B4.A9.E5.A3.8A.E7.97.87.E5.80.99
世界のはちみつ事情
(参考 FAOSTAT) http://www.food-sp.net/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%A1%E3%81%BF%E3%81%A4%E4%BA%8B%E6%83%85/
農薬による方向感覚の異常
wikiより( Sven Preger (2003年11月23日). “Verstummtes Summen – Französische Forscher: Insektizid ist Grund für Bienensterben (沈默の夏 ― フランス人研究者「殺虫剤がミツバチの死の原因」より)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9C%82%E7%BE%A4%E5%B4%A9%E5%A3%8A%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4#.E7.BE.A4.E5.B4.A9.E5.A3.8A.E7.97.87.E5.80.99
みつばちの不足
山田養蜂場 http://honey.3838.com/frombeefarm/vol_29.html